酒屋で働く人の作業着とも言える「前掛け」ですが、なぜ前掛けを着けて働いているのか…と疑問に思ったことはないでしょうか?
実は、前掛けには単にユニフォームとしての役割だけでなく、さまざまな意味が込められています。そこで、この記事では伝統的な作業着の一つとして親しまれてきた前掛けについて、その意味や役割をご紹介。なぜ古くから日本で前掛けが着用されてきたのか深掘りしていきます。
目次
なぜ酒屋では前掛けを使うの?意味や役割とは?
前掛けとは腰に巻く布のこと。日本では古くから酒屋や米屋、魚屋、八百屋など、あらゆる業種で着用されており、作業着としての一面もあるため、単に仕事中の汚れを防ぐものだというイメージがあるかもしれません。
しかし、酒屋が着用する前掛けには、汚れ防止だけではないさまざまな役割があります。では、なぜ酒屋では前掛けを着用するのでしょうか?ここからは、その意味と具体的な役割についてご紹介します。
意味①:衣類の汚れや破れを防ぐため
酒屋が前掛けを着用している第一の目的と言えば、やはり「衣類の汚れや破れを防ぐため」です。
前掛けには、エプロンのように水に濡れた手や汚れを拭いたりするという役割があります。しかし酒屋においては、昔のお酒を入れるケースが木で作られていたこともあり、それに酒瓶を入れて運ぶ際に服が汚れたり、木片で服が破れてしまったりということがあったそうです。それを防ぐ目的で、厚手の生地で作られた前掛けを着用していたと言われています。
今でこそお酒のケースはプラスチックですが、それでもビール瓶などをケースに入れて持つと、どうしても腰から下の部分が汚れてしまうため、現代の酒屋においても衣類の汚れや破れ防止の意味を込めて前掛けが使われています。
意味②:怪我を防止するため
酒屋が前掛けを着けるのは、衣類を汚れから守るためだけではありません。自分自身を怪我から守る目的でも前掛けが有効です。
特に酒屋の場合、木箱のケースを扱う際にトゲや木片で怪我をしてしまったり、酒瓶が割れて怪我をしてしまったりすることも少なくありません。そのような怪我から身を守るために前掛けを着用しているのです。
なお、前掛けは生地が厚く丈夫な作りになっています。そのため、切り傷・擦り傷だけでなく、火傷などの熱による怪我も防いでくれるので、酒屋に限らず火を扱う業種でもよく着用されています。
意味③:腰を守るため
酒屋で前掛けを着用するのには、腰を守るためというものもあります。
前掛けや帆前掛けと呼ばれるものは、骨盤のあたりで紐をぎゅっと締めて着用します。それが骨盤サポーターのような役割となって間接を安定させ、重いものを持っても腰を痛めにくくなるのです。
特に、酒屋は酒瓶の入ったケースや酒樽などの重い荷物を運ぶことが多々ある仕事。腰に負担がかかりやすいこともあり、前掛けによって腰の負担を軽減することで、腰痛を予防する意味があるのです。
意味④:店の宣伝として
前掛けは、自社のアイデンティティとも言える屋号やロゴを入れて作るのが一般的ですが、それは前掛けにお店の宣伝という目的を持たせているからでもあります。
屋号やロゴ入りの前掛けを身に付けておけば、接客中だけでなく配達先でもお店の名前をアピールすることができます。また、従業員のユニフォームとして揃えることで店舗の統一感も出ますし、デザインにお店のコンセプトやこだわりを反映させればブランディングにもなります。このように前掛けには、酒屋の宣伝やブランディングなどの意味でも利用されています。
前掛けとエプロンの違いは?

汚れや怪我の防止、店の宣伝など、さまざまな役割を持つ「前掛け」。その前掛けと同じような役割を持つアイテムには「エプロン」があります。みなさんは、両者にはどのような違いがあるのかご存じでしょうか?
ここでは、前掛けとエプロンの違いについて、形状や生地、使用シーンなどの面からそれぞれまとめていきます。
前掛けとエプロンの違い:形状
前掛けとエプロンの違いとして代表的なのは、その形状です。
まず、前掛けとは、古くから日本で汚れや怪我などから守るために使われてきた四角い布のこと。腰に巻いて使用するため、主に下半身を覆います。対してエプロンは、戦後から利用され始めた西洋風の前掛けのこと。日本の前掛けとは違って、上半身から下半身までを覆うのが特徴となっています。
前掛けとエプロンの違い:生地・素材
前掛けとエプロンでは、使用されている生地にも違いがあります。
前掛けや帆前掛けと呼ばれるものは、綿生地や刺子生地などの厚い生地で作られることが多いのが特徴。怪我や熱から体を守るのに適した素材が使われています。一方、エプロンは前掛けと比べて比較的薄い生地で作られているのが特徴です。主に汚れを防ぐ目的で使用されるため、綿やポリエステル・麻などさまざまな素材が使われています。
前掛けとエプロンの違い:使用シーン
前掛けは、もともと日本で使われていた作業着でもあるため、古くから日本にあった業種で使われていることが多いのが特徴。
例えば、居酒屋や和食店などでは、汚れや怪我を防ぐために。酒屋や米屋などの比較的重い商品を扱う業種では腰痛防止として。そして、ガラス職人や陶芸家などの火を扱う業種では、火傷や熱気から身を守るために、前掛けを使用していることが多いようです。
対してエプロンは、上半身から下半身までを覆うという形状から、上半身まで汚れる可能性のある業種や軽作業を行う業種に選ばれることが多いようです。例えば、自宅で家事を行う際や、介護士や保育士、スーパーの店員や清掃員など、衛生管理が必要なシーンで活躍しています。
酒屋のこだわりを詰め込んだ前掛けを注文するには?

日本で古くから “仕事着”として愛されている前掛け。特に屋号を入れて染め抜いた前掛けは、自社のアイデンティティを伝えるための大切なアイテムの一つです。
私たち水野染工場 日比谷OKUROJI店では、日本の伝統的な前掛け・帆前掛けを職人が手染めでお作りしています。創業明治40年の伝統技術と知識で、皆さまの「作りたい!」をカタチにしておりますので、前掛けをオーダーされる際はぜひお気軽にご相談ください。
1枚からでも製作可能
オリジナルデザインで注文する場合、中には「まとまった枚数でないと注文を受け付けてくれないのでは…」と不安に思う人もいらっしゃるかもしれません。
私たち水野染工場 日比谷OKUROJI店の前掛けなら、なんと1枚から製作OK!酒屋や飲食店に限らず、ご自宅用や贈り物・記念品として、気軽にオリジナルデザインの前掛けをオーダーすることができます。
また、短納期にも対応しています。目安として通常は1週間程度のお時間をいただいておりますが、「もっと早く欲しい」「急いでいる」といった場合もご相談可能。お急ぎの注文でも、できるだけ対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
さまざまな仕様に対応
水野染工場 日比谷OKUROJI店の前掛け・帆前掛けは、さまざまな仕様にも対応しております。
例えば、ポケット(片ポケット、両ポケット)なら、ポケットの有無が選択できるのはもちろん、前面・裏面の両方に付けることも可能。さらに生地の下部に「フサ」が付いている帆前掛けの場合は、短帆前掛け・長帆前掛けをご用意。商売繁盛の意味が込められた「フサ」の長さも、ご希望に合わせてお選びいただけます。
また、帆前掛けの紐は表裏が白とオレンジ色で、どちらを表にするかもご希望に沿ってお取り付けします。(染色から縫製まで一貫生産している当社の強みです。)
紐の色がオレンジ色だと、目立ちますよね。
上半身と下半身の境、ベルトのあたりにオレンジ色があると引き締まって見えます。
サンプルや色見本をご用意
水野染工場 日比谷OKUROJI店では、デザイン見本・生地見本・色見本など、前掛けを製作する際に必要な見本をご用意しております。
よく帆前掛けに選ばれる濃紺以外のサンプルもご用意しておりますので、仕上がりをイメージしながらデザインを作ることができます。
実店舗で直接確認OK!
水野染工場 日比谷OKUROJI店の最寄り駅は、「JR有楽町駅」と「JR新橋駅」。アクセスしやすい場所に店舗を構えているほか、打ち合わせ可能なスペースをご用意しております。店舗では実際に前掛けのサンプルを腰に巻いたり手に取って触ったりしながら、丈や紐の長さ・生地の風合いなどを細かくご確認いただけます。
また、日比谷OKUROJI店からZoomを使用して、水野染工場の本社工場と打ち合わせをすることも可能。専門のデザイナーや染色職人と直接話しながら理想のイメージを詳細に伝えることもできますので、ぜひ皆様の「こだわりをカタチにしたい」という場合は、ぜひ一度、私たち水野染工場 日比谷OKUROJI店にお問い合わせください。
染物を通じてお客様の大切な「こだわり」をカタチに

水野染工場「日比谷OKUROJI店」は、北海道旭川で明治40年から染物屋を営む株式会社水野染工場が「より染物を身近に感じていただけますように」との願いを込めて東京で展開する染物専門店です。
手ぬぐいや藍染商品の販売以外にも、藍染のデモンストレーションや体験イベントを行うなど、藍染を通じてお客さまの「想い」に寄り添う商品をお届けしています。
半纏・法被、暖簾、旗、手ぬぐい、帆前掛け、神社幟、神社幕…など、印染製品のオーダーメイドについても、直接店舗でご相談いただけますので、ぜひ一度、水野染工場「日比谷OKUROJI店」にお越しください。